私たちは、これまで、様々な支援を少数民族の方々と一緒に実行してきました。これまでの活動について、一度、振り返っておきます。
タイ北部には、通学に2日かかるような村で暮らす子もいます。タイ語の習得もままならないケースもたくさんあります。そして、そのような子は、大人になっても過酷な職種の仕事にしか就けずにいます。そこでタイのカレン族の教会は、アメリカからの支援を頂き、これらの子供たちが将来少しでも良い生活ができるようにと教会に「子ども寮」を立て、それらの子供たちを迎えました。また関東学院では、1999年から、タイの山岳少数民族へのボランティア活動を続けていて、学生と教員が現地を毎年訪問し、生活状況の調査した上での必要な支援を行ってきました。
 例えば、現地では、雨季に豪雨の被害が頻発していました。そこで、その災害時のシェルターにもなるコミュニティセンターを建設しました。また、浄化設備の不備により子どもたちの健康が脅かされて、遠方に何時間もかけて水汲みに行く子どもがいる状況もありました。その解決策として、簡易水道や浄化槽の設置なども行いました。その全ては、子どもたちが当たり前に教育を受けられる環境を整えるためです。
関東学院は、「人になれ 奉仕せよ」を校訓としています。知識をただ習得するだけではなく、その知識を活かして、どう社会や人に役立てるのかを学生に学んでもらいたいと考えています。さらに言えば、それを、一人でするのではなく、他の人が持っている知識や力と合わせれば、本当に必要とされる力になるということを、学生生徒らに知ってもらいたいと考えてきました。山の奥地の村で暮らす子どもたちも教育を受けられるように、奥地の中でも少し大きめの村に子供寮のようなものを建て、そこから学校へ通えるように考えて行動しました。しかし20年も経つと子どもたちも大人になります。そこで、次に必要とされているのは就労支援です。そこでチェンマイに日本語学校を作りました。日本語ができれば、就職のチャンスも生まえると考えたからです。今は日本語教育の機会をもっと広げるなど、子どもたちの自立支援が大きなテーマになっています。
 このように、これまで、私たちは、水を作り、小学校を建て、日本語学校を開設し、日本企業への就職という応援も行っています。ミャンマーやタイ、そして日本に住む少数民族の方々とともに歩んできました。しかし、私たちの活動は、まだまだ日本の社会の中で認識されているとは言えません。まだまだ足らないと考えています。「日本人が社会的弱者に何ができるのか」という支援の発想ではなく、「その国に住む少数民族の人々がどうしたら自立できるのか」、教育も住環境も大切な要因ですが、活動を続けていく中で経済的に自立できるインフラを整備・充実していくことが重要だと気がつきました。
 それは同時にこれからの日本人が抱える課題を解決するヒントになるのではないか、ということにも思い至りました。そのために、この「Well-being」を立ち上げました。共に考え共に話し合い共に行動する方々を求めています。みなさんの参加も待っています。

森島牧人

※現地の活動写真はすべて森島先生ご提供

森島牧人(もりしま・まきと)
関東学院大学名誉教授。元関東学院学院長、関東学院大学文学部教授。NPO法人山岳民族子供支援プロジェクトでは理事を務めている。